ゲイ勤務医の雑記帳

20代終了目前で自らをゲイと認めたしがない勤務医の戯言

インフルエンザの治癒証明?

突然全くゲイとは関係のない話ですが笑

 

いま巷ではインフルエンザが大流行中であることは周知の事実かと思います。

特にここ半月は内科外来で診察をしていると必ず数人はインフルエンザと診断される患者さんがいらっしゃるような状況です。

 

そんななか、ときおり「インフルエンザの治癒証明書が欲しい」とのことで来院される患者さんがいらっしゃいます。

 

「はて、インフルエンザの治癒を証明ってなにをしたらいいの? 」というのが内科医の率直な気持ちです。

 

なにをもって「治癒」とするのか。 

 

基本的にこういった証明書の提出を求めるのは勤務先ですから、他人へ伝染する可能性がないことを証明してほしいというのが真意なのでしょうか。

であれば、学校保健安全法を参考にするのが正解なのでしょうか。

出席停止の期間:

発症した後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで

 

学校保健安全法施行規則第18条より

ただ、この通りに「治癒」を証明するに際して、正直なところ医師の役目はほぼないに等しいです。

診断時に発症時期はある程度特定できていますし、解熱後の期間は患者さんご本人が確認/判断できます。

 

そうなったときに、医師として「治癒」を判断できる根拠がほかにあるか。

 

インフルエンザ自体ごく一部の重症化/合併症発症例を除き基本的には一般的な風邪/感冒の延長と捉えて問題ない病気であることから、特に持病のないような患者さんにおいては自己の免疫が時間をかけて改善へ導いてくれると考えて問題ありません。すなわち、その過程のどこのタイミングを治癒とするか議論する意味合いはほぼありません。

 

また、インフルエンザの診断時に使用される迅速診断キットはウイルス量をある程度反映しますが、これが再検査で陰性化することの意義については議論されておらず(というより議論する必要がないということなのですが)、再検査をすることは治癒の根拠にはなり得ません。

 

結局「治癒証明ってなんだろう?」ということなのです。。

 

実際、厚生労働省からも下記のような文言が出ています。

Q. インフルエンザにり患した従業員が復帰する際に、職場には治癒証明書や陰性証明書を提出させる必要がありますか?


A. 診断や治癒の判断は、診察に当たった医師が身体症状や検査結果等を総合して医学的知見に基づいて行うものです。インフルエンザの陰性を証明することが一般的に困難であることや、患者の治療にあたる医療機関に過剰な負担をかける可能性があることから、職場が従業員に対して、治癒証明書や陰性証明書の提出を求めることは 望ましくありません。

 

厚生労働省 平成30年度インフルエンザQ&Aより

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html

 

ただ、この忠告は勤務先側に理解していただかなくてはならない内容です。

治癒証明書を求めて目の前にいらしている患者さんは、あくまでも勤務先からの指示に従っているだけ。「そんなもの意味がないから出せませんよ!さようなら!」とその場で言ったところで患者さんを困惑させてしまうだけです。

 

いまのところ僕は、ここで書いたような内容を平易にお伝えしながら、学校保健安全法を参考に伝染リスクが非常に低い旨を診断書へ記載しお渡しするという対応をしています。

しかしながら、医療費抑制の観点からも治癒証明書が不要であることがより周知されていかなくてはならないと考えます。